1【自分】

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{3} こうして… ダンボール小屋を増築した後、俺とノブさんの共同生活が始まった。 小屋の内部は、意外にもきちんと整理整頓されていた。 鍋やフライパンなど生活必需品のほとんどが揃っている。 炊事、洗濯、風呂は、公園の水飲み場を使う。 収入は、アルミ缶を拾い集めて廃品業者に持ち込むと、1キロ100円で買い取ってくれる。 驚いたのは、ノブさんが近隣でちょっとした有名人であるらしいという事であった。 この公園の前の道は、 通学路になってるらしく、朝と夕に子供や若者達がぞろぞろと通り過ぎて行く。 そして、そのうちの何人かは「おはよう!ノブさん!」と手を振ったり会釈をしたりしてきた。 ノブさんは大人達からも人気が有った。 配達などで公園の近くを通り掛かった大人達が時々、足を止めて笑顔で声をかけてくる。 驚いた事に、巡回途中の若い警官(関って名前)までもがノブさんに話し掛けてきた。 その度にノブさんは、皆に俺を紹介した。
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