1【自分】

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さて。 そんな中、 ほぼ毎日のように俺達に声をかけてくれる一人の少女がいた。 ノブさんは、彼女の事を『雪ちゃん』と呼んでいたが、本名は立花雪子さんと言うらしい。 何でも、ノブさんの話によると、 雪ちゃんは早くに父親を亡くし、現在、母親と二人暮らしをしているのだが、 母親は足が悪く、家で内職をして細々と暮らしているのだそうだ。 で、雪ちゃんは家計を助ける為に昼間は弁当屋でアルバイト、夜間は介護の専門学校へ行き勉強をしている。 ヘルパーの資格を取ったら、母親の面倒をちゃんと専門的に見るのが彼女の夢なんだそうである。 「こんにちは!お二人さん!」 今日も雪ちゃんは、俺達に笑顔で声をかけてくれる。 「お!雪ちゃんじゃないか!こんにちは」 「雪さん。こんちはっす!お弁当屋のバイト終わったんすか?」 「はい!終わりましたよぉ。それでウチの店長がこれ、お二人で食べて下さいって」 と、雪ちゃんがビニール袋に入ったオニギリを俺達に手渡す。 「おお!いつも済まんの!」 「ご馳走様っす!」 「いえいえ~。 さて!私これから、専門学校へ行って来まぁーす!」 「頑張れよ!」 「応援してるっす!」 「ありがとう!ノブさんもイイ歳なんだから、あんまり無理しちゃダメだよ!それじゃあ!」 と、彼女は笑顔で手を振りながら歩き去って行く。 「本当に… 良いコじゃなぁ」 「そうっすねぇ」 俺達は、彼女を見送った後、頂いたオニギリを有り難く頬張った。
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