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と…
ノブさんがオニギリを食べながら、公園のゴミ箱に捨てられていた今日の新聞に目を通して、口を開いた。
「しかし、マモルよぉ。
毎日のように、世界のあちこちで戦争が起こってるよなぁ」
「そうっすねぇ」
俺達がいつも読むゴミ箱の新聞は、その日発行の物なので俺達は結構、最近の社会情勢を把握していた。
「全く…
一番かわいそうなのは、戦争に巻き込まれた一般市民じゃよ」
ノブさんが、ため息をついた。
「そうっすよね…」
「戦争で愛する家族を奪われた善良な一般人が、怒りに任せて兵士となり、再び相手の国を攻め、今度はその国の善良な人々をも逆に殺してしまう。そして、またそこで新しい怒りや憎しみが生まれる。その繰り返しじゃ」
「………」
「真に復讐すべき相手は、戦争を始めた一部の権力者達じゃ。
どの国にだって戦争を好まない善良で罪の無い人々がいるんじゃ。
だから、いくら相手の国が憎くても、その国の一般の人々までをも皆殺しにしてしまうのは間違いじゃ。
まあ、本当は『殺しても良い命』なんて…この世には、一つも無いはずなんじゃが」
時々、ノブさんはこんな熱弁を俺に披露する。
と…そこで、ノブさんは新聞をたたむと立ち上がった。
「さて!マモル。
そろそろ空き缶集めに行こうか。金稼がにゃな」
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