特訓

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「昨日の職員会議でお話しは通ってると思いますが、学園の守護獣としておいで下さったキン様です。」 「ワン!!」 改めて先生から紹介を受けたキンさんが、大きな声で鳴く。 それは、いつもの優しさのある鳴き声では無かった。 こらキンさん、楽しむでないですぞ! と言いながら、紋所を出したあの人のような気分を味わう俺。 やっておしまいなさい、とは言えないけどね。 「………」 衝撃に目を見開く先生軍団。 そのうち、エレオール先生がスッと地面に頭をつける。 土下座である。 それに続くように、他の先生達もキンさんにひれ伏した。 キンさん無双…そう思わずには居られなかった。 「…キン様、ありがとうございます。このままでは話が進まないので、どうか元のお姿にお戻り下さい。」 ホスト先生が丁寧に頭を下げる。 いや、元の姿に戻った所でキンさんはキンさんなんだけどね。 そう思いつつ、キンさんの首にペンダントを掛け直した。 すると、また閃光が走り人間のキンさんに戻る。 「おいテメェら、ツラぁ上げろ。」 人間に戻ったキンさんが、先生軍団に対してそう声をかける。 すると、ビクビクと頭を上げる先生方。 てかキンさん、口調がヤンキー過ぎる 「俺の一郎が腹ぁ空かせてる。こんな扱いするとはどう言う了見だ?あ?…あと俺も小腹が空いた、うだうだ話してねぇでさっさとメシだせや…俺はテメェらの中から何人かツマんでもいいけどよ。」 震え上がる先生達。 いやいや、そんな理不尽な。 腹を空かせてるのは、勝手にご飯食べそびれた俺のせいだし。 てか、ツマむって… 完全に守護獣()だな…。 「失礼ですが、一郎は"俺の"生徒でもありますのでお忘れ無きよう…すぐにお食事の御用意をします。」 ホスト先生が鋼のメンタルでキンさんに立ち向かい、厨房らしき場所からコッソリ覗いていたコックさんに目で合図を送る。 俺はモテモテかよ!! 男に…!! 異世界モノで定番のハーレムだけど、性別間違えちゃってる。 辛い。 コックさんは、慌てたように厨房に戻って行くとガタガタ音がしだした。 きっと料理を作ってくれてるのだろう。
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