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「縁を取り持って頂き、専務には感謝しております」
早く終わりたい。
腹の中で人生史上最低の悪態をつきながら笑顔で頭を下げた。
もうこいつに頭を下げるのはたくさんだ。早く失脚させてくれと麻生部長を拝む。
しかし顔をあげた時、専務が苦笑しながら漏らした独り言を、僕の耳ははっきりとらえてしまった。
僕は感情を表に出すタイプではないし、そもそもあまり感情が波立たない。
けれど、この時ばかりはコントロールが難しかった。
「それでは失礼いたします」
何かやらかしてしまう前に、素早く退室してドアを閉めた。
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