密かな確執

16/20
2783人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
「縁を取り持って頂き、専務には感謝しております」 早く終わりたい。 腹の中で人生史上最低の悪態をつきながら笑顔で頭を下げた。 もうこいつに頭を下げるのはたくさんだ。早く失脚させてくれと麻生部長を拝む。 しかし顔をあげた時、専務が苦笑しながら漏らした独り言を、僕の耳ははっきりとらえてしまった。 僕は感情を表に出すタイプではないし、そもそもあまり感情が波立たない。 けれど、この時ばかりはコントロールが難しかった。 「それでは失礼いたします」 何かやらかしてしまう前に、素早く退室してドアを閉めた。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!