彼女の拒絶

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時差と営業時間を確かめてから、幾つか目星をつけた団体に電話する。 その結果分かったのは、ペットショップで購入するよりも飼い主に求める譲渡の条件が厳しいということ。 二度と野良猫にしないという精神と愛情のもと、当然と言えば当然だ。 「道は険しいな……」 ため息をついてソファに転がる。 けれど一度思い付いてしまったら、それ以外のプレゼント候補なんて霞んでしまった。 “どこかで寒くてひもじい思いして鳴いてたのかな……” 昔の猫の思い出を語りながら鼻の頭を赤くしていた彼女の声を思い出す。 同じ猫は無理でも、もう一度野良猫を抱かせてやったらどれだけ愛情をかけるだろう? ちょっと猫が羨ましい気がするのは置いておき。 もう一ヶ所だけ頑張って電話して今晩は終わろうと携帯を取り上げて、ふと彼女の顔が見たくなり画像を開いた。
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