彼女の拒絶

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でも、二人の歴史より僕を苛むのは、数多の女性の中から彼女を見つけ出した桐谷への敗北感だ。 かつての僕にそれができただろうか? 素通りだっただろう。 結果的に捨てたとしても、桐谷は出世を危うくして執着するほど彼女を愛した。 僕は桐谷がきっかけで彼女に目を留めたに過ぎず、桐谷の失態で棚ぼたのように手に入れようとしているだけだ。 僕は根本的に彼に足りていない。 唯一だけど絶対の敗北だ。 先んじればいいというものではないけれど、今さらながら出会い方も動機も不甲斐ない。 苛々の勢いで何本か電話して訪問のアポイントを取り付けると、ようやく僕はベッドにもぐり込んだ。 睡魔に誘われながら、なおも僕は考え続けていた。 僕はよく人から弱点のないロボットのようだと言われる。 人が誰かの弱さを愛するものなら──弱さを自覚できない欠陥人間の僕には、彼女の愛情を勝ち取れない気がした。
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