彼女の拒絶

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翌日からは日本の製造メーカー側と契約条件を練り直しながら、アメリカの交渉先と一進一退の攻防戦を続けた。 その合間にこれまでの契約案件のプラント建設の進捗状況を視察して回る。 とにかく帰国日を後に延ばしたくない僕は珍しく必死だった。 その焦りは日本の麻生部長にはお見通しだったらしく、報告の電話で笑われてしまった。 『今回、十日間ではきつくないか?帰国便を手配するから、二週間程度に延長してゆっくり帰って来るといいよ。木曜帰国を次の月曜に変え……』 「いえ!大丈夫です」 『いや、でもなぁ、日程案見た時から指摘したかったんだよ。キツいだろう』 「問題ないですよ。スケジュール通りまとめます」 僕には絶対に木曜に帰国しなければいけない理由がある。 直後の土日は、僕にとって仕事と同じぐらい譲れない猫ミッションがあるのだ。
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