彼女の拒絶

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でも先日の遭遇で、桐谷に与えた打撃と同じ分、僕たちもダメージを受けた。 人の心は仇討ちで立ち直るものではないのかもしれない。 「俺じゃないっすよね?」 「……」 水野の声で思考がぶつ切れになり、僕は招待状問題を考えることを渋々諦めた。 その翌朝、数日ぶりに彼女に電話した。 日本にいる時は毎日電話している訳ではなかったし、メールもあまり送らなかった。 むしろアメリカ出張中の方がメールはほぼ毎日で、日本にいる時よりマメだ。 商談は今日が大詰めで、出勤前に彼女の声を聞きたくて目を閉じて待つ。 『……もしもし』 三コール目で電子音は途切れ、柔らかな声が耳を撫でた。 「僕だよ。寝てた?」 『いいえ、起きてました』 この声とあの笑顔に毎日送り出される朝が待ち遠しくて、心が緩む。 だけど次のやり取りで少し僕は異変を感じた。
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