彼女の拒絶

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「そっちは変わりない?」 『……はい』 形式的な質問のはずだったのに、彼女の返事は数秒遅れた。 気のせいかどことなく暗く、返事しなければと無理に口にしたような声にも思えた。 「……何かあった?」 『いいえ!大丈夫です』 この時、やたら勢いよく張り上げた声に、僕は彼女が無理をしていることに気づくべきだったのに。 『あ、あの、招待状は間に合いましたか?』 なのに僕の悩みの一つをズバリ突く彼女の質問に気を取られ、僕はその引っ掛かりを流してしまった。 「うん。ぎりぎりだったけどね。そろそろポストに返事が返って来てるだろうな。メールでも返事もらってるよ」 彼女を安心させようとする一方で、僕の心のどこかに潜む桐谷に招待状を出していないことへの後ろめたさが、僕を饒舌にする。 「もしかして席次表を作り始めてる?僕の方はだいたい予定通りだと思うけど、確定までもう少し待ってくれるかな」 勝手にあの男を閉め出そうとしていることへの後ろめたさが、招待状から席次表へと話題のポイントをずらしていく。
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