彼女の拒絶

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午前中は支社で打ち合わせのあと視察、午後からは今回の相手先との第一回の交渉がある。 今回は油断ならない相手先なので業務中は余計なことに気を散らさず集中していたけれど、ランチや休憩時はつい彼女のことを考えてしまう。 いうのも、今朝の電話のことだけでなく、この出張後しばらくで彼女の誕生日がくるのだ。 彼女が一番喜ぶものって? アメリカで気のきいたものを探そうと思っていたけれど、時間もなければ名案も浮かばない。 ランチ後にスマホを取り出した水野の手元を見て、僕はふと興味をひかれた。 水野の奥さんらしき女性が猫を抱いている画像だ。 「水野、その待ち受けは?」 「ああ、うちの奥さんです。可愛いでしょ?」 「ああ、うん」 聞きたいのは猫なんだがなと思いつつ生返事すると、水野は頼みもしないのに次々と画像を開いた。 新婚水野のスマホ画像は新妻との浮かれた自撮りと猫だらけだ。 「猫飼ってるんだ?」 「奥さんが猫好きでね、僕にも感染しました。元野良だけどこいつ世界一の美人でしょ?」 「野良?」 野良と聞いて、僕はひらめいてしまった。 猫嫌いの僕にはほぼ不可能な、無謀すぎる計画が。
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