彼女の拒絶

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しかしペットショップのおとなしい子猫でも硬直する僕が、気むずかしい野良猫を捕獲するなんて、無謀レベルを越えて非現実的すぎる。 「どうやって手懐けた?」 「女の話じゃないっすよ、主任」 「分かってるよ。野良猫だろ?」 僕が急に身を乗り出して食いついたので、誤解した水野に顔をしかめられた。 「野良を保護する愛護施設があるんですよ。うちのはそこで引き取りました。アメリカはそういうの盛んだから」 「へえ…いいな」 「日本にもあるんじゃないすか?数は少ないかもですが」 そう聞くとさっそく僕は検索し始めた。 「主任、猫飼いたいんですか?やめた方がいいですよ」 「どうして」 「情薄そうだし、女にも冷たいし。女と違って猫捨てるのはダメですよ」 「……そんなことしないよ」 検索に気をとられ、いい加減な返事になる。 「だって決まった女作らないじゃないすか。即ポイポイでしょ」 「失礼な。そこまでひどくないよ」 散々な評価に苦笑する。 確かに以前の僕は誉められたものではなかったけれど。
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