彼女の拒絶-2

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彼女を送り届けたあと自宅に戻った僕は、現実から目を背けるようにしばらく仕事に没頭した。 こういう時はかえって捗るものなのか、かなりの量を一気に片付けてしまい、凝った首を揉みながらパソコンの電源を落とす。 シャワーを浴びて寝ようと部屋を出ていきかけて、ふと僕はもう一度腰掛け、デスクの引き出しを開けた。 そこにあるのは桐谷への招待状。 再出発の日は、出来る限り曇りなく迎えさせてやりたい。 そんな思いで予定していた復讐を放棄すべきか迷い、出せずにいたはずだった。 でも本当の理由は、平凡な一人の男のささやかな願いだったのかもしれない。 ただ僕一人だけを見ていて欲しい、と。 「……ごめん」 貫徹できなくて。 招待状を取り上げ、目を閉じて呟いた。 僕が本当に強い男だったら、君の復讐を遂げさせてやっただろうに。 僕は横槍で好きになってしまった。 彼女が掃除で綺麗に空っぽにしてくれたゴミ箱が、スコンと空虚な音を響かせた。
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