彼女の拒絶-2

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*** 一週間後の日曜日。 今日は彼女が僕の部屋に来る予定で、起きたら電話することになっていた。 帰国して十日ほど、色々邪魔も入って、まともに会えるのは初めてだ。 なのに早朝から僕はこっそりとまたあの施設に来ている。 誕生日まであと少し、時間がないのだ。 ここに来るのはもう何度目になるだろう? 先週は仕事が深夜に及ぶ日が多かったため、フレックスを利用して出勤前の早朝に何度か通った。 もう疲労で体が鉛のように重い。 「お前のせいだぞ?」 目の前でカリポリと音を立てながらキャットフードを食べる茶猫に文句を言う。 猫は一瞬食べるのを止めてチラリと上目で僕を一瞥すると、知らん顔でまた食べ始めた。
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