彼女の拒絶-2

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苦戦する僕を見かねて、スタッフが餌付け作戦を提案してくれてから数日。 その効果は、顔見ただけで唸るのをやめてくれるようになった、という程度だ。 手ずからは受け付けてくれないので、お皿から。 抱っこなんて程遠い。 到達できるのは何年後だろう? 「なあ、もういいだろ?」 抱きたい。抱かせて。抱かせろ。 ただカリポリを見守るだけの間延びした時間を、声に出せばかなり語弊のある三段活用で暇潰しする。 あくびを噛み殺しながら時計を見ると、まだ八時。 猫様が食べ終わったらすぐ帰って、彼女に電話して……。 “一緒にいられるだけでいいんです” 電話で言われた言葉が浮かんで、あくびが途中から潰れた笑い顔になった。
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