彼女の拒絶-2

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ところが自宅に戻りコーヒーが入るのを待つ間にソファーでうたた寝してしまい、目が覚めると昼近くになっていた。 「あの、お掃除したいんですけど、いいですか?」 片付ける暇もなく慌てて彼女に電話して、外でランチを済ませて帰宅すると、彼女にこんなことを言われてしまった。 「気になる?ごめん。自分ではそんなに汚くないと思ってたんだけどな……」 とは言ったものの、ほとんど家に居られず寝に帰るだけの生活でも、不思議に埃はたまるものだ。 服を脱ぎ散らかしたりはないけれど、何日分もの新聞がテーブルに置きっぱなしだし、ゴミ箱も一杯になっていた。 「きれいですけど、何かお手伝いしたいなと思って」 できれば一緒に掃除したかったけれど、彼女の言葉に甘えて僕は浴室に引っ込んだ。 というのも、昼食のレストランで彼女が妙に僕の頭をちらちら見るので気づいたけれど、僕の頭には間抜けな寝癖がついていたらしい。 僕の髪は一見素直そうだけど、一から洗い直さないとまた復活する、しぶとい奴なのだ。 久々に会えたというのに、猫ミッションのせいで何かと情けない体たらくだ。
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