彼女の拒絶-2

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シャワーを止めると、近くなったり遠くなったりしながら掃除機の音が聞こえてくる。 僕の家に彼女がいる……って意外と些細なことで実感するもので、ただの掃除機の音なのに聞き惚れている自分に気づき、呆れながら一気にシャワーを終えた。 シャワー後は掃除が終わるまで待っててと書斎に避難させられたけれど、作業の音が止むと、我慢できずにパソコンと共にリビングに移動する。 キッチンからは夕飯の仕度の音が聞こえてくる。 漂ってくるビーフシチューの香りに鼻をクンクンさせながら仕事していると、ようやく彼女が僕の隣に来てくれた。 腕には何やら重そうなものを抱えている。 「あれっ、パソコン持ってきたの?重いのに」 「はい。席次表を作り始めようと思って」 「ああ……そうか」 仕事は山ほどあるけれど、彼女と一緒に何かをしたい僕は、返送されてきた招待状の束を書斎から取ってきた。
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