彼女の拒絶-2

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僕は仕事を、彼女は席次表の文字入力を再開すると、まったりとした午後の時間は再び何事もなかったように流れ始めた。 「内一課って、海外プラント部一課とは違うんですか?」 「ん?……ああ、それは国内プラント部の略。ごめんごめん」 時折、僕が略して書いた部署名や肩書きを彼女が尋ねてくると、僕は仕事の手を止め彼女のパソコンを覗きこむ。 ごく近くに感じる息遣い。 何気なく触れる、肩と肩。 間近で合うと、はにかみ笑いと共に伏せられてしまう瞳。 そのうち洗濯機が完了を知らせたので彼女は席を立ってしまったけれど、時間に追われ疲労がたまった僕にとっては全身が息を吹き返すような時間だった。
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