彼女の拒絶-2

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「……」 じりじりと距離を詰めながら話しかけようとしたけれど、何も浮かばない。 うちに来る? うちに来い。 うちに来て頂けないでしょうか? 緊張のあまり浮かんだ変な三段活用にアホかと自分で突っ込んだ。 でもとにかく一匹手懐けなければ、この猫地獄からの脱出……もとい彼女への最高のプレゼントは叶わないのだ。 とりあえずスキンシップだろう。 撫でる、猫がゴロゴロと満足気に喉を鳴らす、ミッション完了。 しかし、そんな絵に書いたように事が運ぶはずもない。 どこを撫でれば猫様のお気に召すのか、猫と無縁だった僕にはまったく予備知識がなかった。 下調べしておかなかった自分を叱咤しても仕方がないので、とりあえず頭かと恐る恐る手を伸ばす。 すると猫は小さな身体に警戒心をみなぎらせ、いよいよ僕を睨み付けてきた。 「あ、その子ね」 子猫の世話を終えたらしいスタッフがこちらにやってきた。 「来た時は痩せててね、人嫌いが激しかったんですよ」 スタッフにはもうすっかり慣れたらしく、猫は従順に抱き上げられるままになっている。
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