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「あの……僕はあまりベテランとは言い難いんですが、その猫は無理でしょうかね」
ベテランどころか、恐怖症に近い。
へっぴり腰ながらとんでもない誇大広告で粘ってみる。
「あちらの子猫ちゃんたちは人気ですよ。躾もしやすいし懐きやすいのですぐに貰い手が見つかるんですけどね」
話のもっていき具合からして、どうやらスタッフは僕がど素人なのはお見通しらしい。
少し離れた場所にあるケージを覗くと、五ひきほどの子猫がミャーミャー鳴いたりゴソゴソ動き回ったりしている。
確かに子猫ならまだあまり猫特有の威圧感がなくて、僕でもどうにかできそうな気がするし、何となくプレゼントとしても可愛らしい。
一匹、茶色の猫もいる。
「成猫はなかなか条件が厳しくなりますね。もう傷ついて欲しくないですから」
それでもやっぱり、僕はスタッフの腕から僕を睨む猫を振り返ってしまうのだ。
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