君の名を呼べば-2

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「僕が守ろうと思っていたのに」 西野円香との過去。 見合いの裏の取引。 たとえそれが実体のないものでも、僕のせいで余計に彼女の傷をえぐり苦しめてしまった。 「十分、守ってくれました」 なのに彼女はそう言って微笑んだ。 彼女は裏切られる恐怖を一人で乗り越え、身ごと投げ出し、その柔らかな強さで僕をそっと包んでくれていた。 守られているのは僕なのかもしれない。 リビングから差し込む夕暮れの日差しで茜に染まった廊下で、もどかしく見つめ合う。 彼女への気持ちを伝えきる言葉なんて存在しない。 「……ごめん」 キスしかけて顔を逸らし、呻いた。 彼女には先週、押し退けられたばかりだ。 我慢しすぎて、もう遠慮を捨ててもいいのかすらも判断できなくなっていた。
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