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部屋に戻り、茫然と見回した。
ベッドは薄いピンクの花柄の布団が綺麗に整えられていて、枕元には茶色の猫の写真が飾ってある。
ベッド脇の小さな棚の開き戸が、なぜか開けっ放しになっていた。
積み上げられた段ボールにはマジックで「冬物衣類」や「本」などと書いてある。
僕がいない間、引っ越しの準備をしていてくれたのだ。
「猫ちゃんもの」などという妙な分類の段ボールもあった。
ささやかな彼女の生活がここには息づいているのに、彼女だけが、いない。
耐え難い現実が僕を押し潰していく。
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