君の名を呼べば-2

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急いで携帯を取り出し、彼女にかけてみたけれど、やはり電源は切られたままだ。 桐谷が来た? 何があった? 今どこにいる? 整えられたベッドには唯一、彼女が座っていた跡のような丸いシワが残されていた。 「……里英」 床にしゃがみ、そこに手を触れると、愛しさと苦しさで喉が詰まった。 呼んでみて気づく。 僕は、ずっと名前を呼びたかったのだ。 いつか彼女の心が完全に僕に向いてくれたら──そう思って待っていたのかもしれない。 なのに、僕のものになる前に、彼女はいなくなってしまった。 初めて呼んだ彼女の名前は、ところどころに画鋲の穴がある白い壁に吸い込まれ消えていった。
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