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「そうだ。明日、会社休める?」
キッチンに二人並んで食後の片付けをしている時、ふと思い出して尋ねた。
隣でスープの鍋を洗っている彼女の手が止まり、じっと僕の横顔を窺っているのが見える。
「……」
なぜか彼女は沈黙した。
「麻生部長が明日、代休を取れって言ってくれてね」
もしかして張り切り感を出しすぎて今夜の行く末に恐怖を与えたのかもしれないと思い付け足すと、彼女は意外な返事をした。
「私、明日休みとってます」
「えっ?」
驚いて聞き返したあと、はたと気づいた。
「よかった。二人でお祝いできるね」
そうだ。あまりの騒動で吹き飛んでいたけれど、明日は彼女の誕生日だ。
若干白々しく分かっていたよ感を繕う。
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