1人が本棚に入れています
本棚に追加
約束して2年。
あいつがまた隣に帰ってきた。
「なんで一人暮らしする時まで隣やねん。」
ここで同棲を言い出せない自分が情けなくもある。
「なぁ、約束、ちゃんと守ってくれてる?」
不意に持ち出された誓い。
保守的になるのはもうゴメンだ。
「当たり前やん。」
目をそらさず、距離を縮める。
「証拠、見せて?」
覗き込むようにしないと届かない唇。
いつの間にかこんな変化があったんだな。
心は何も変わらないのに。
「…はあ?」
至近距離で見る、怪訝な顔。
「マンガ!」
「え?」
「貸したままになってるやろ?」
そう言って、突き付けられた誓約書。
「はい、読んで。」
読め、って…………あぁ。
「ずっと、持ってる。」
2年越しで知る自分の誤字。
言えば間違えなかった。
打てば間違えなかった。
悲しき現代病。
「…取ってくる。」
最初のコメントを投稿しよう!