321人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
――――――――――
――――――――
――――――
「……あれは行ったか」
「はい」
「まったく。自分の見合いの相手も確かめることもせずに。まあ、それだけ、りんを想ってるってことなんだろうがな」
「そうですね。若に拐っていくことを宣言しましたね。それだけの覚悟をしたってことでしょう」
龍琉が玲央の車でりんを拐ってく。
ふたりの乗った車が遠く見えなくなるまで窓から榊が見送っていた。
「りんもりんだ。おまえの見合いだと言っただけで泣きべそをかいた。見合い写真を見もしない」
ため息が出た。
娘のためによかれと思って正式に見合い相手としてやったのに。
それなのにぶち壊しだ。
「影王は今頃笑ってるんだろうな」
「電話しますか?」
「いや、…ほらな。向こうから掛かってきた」
電話の着信音が影王を知らせた。
出ると妙に上機嫌な影王の声。
最初のコメントを投稿しよう!