朔太郎くんの隣には

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「………ほう。僕の碧君ほどじゃないが、確かに構いたくなる。海君は嗜虐心を突いてくるタイプか……いや、実にお似合いだ」 「ちょっと待て、あんた今ナチュラルに俺を名前呼びしてるけど、外ではヤメろって言ったよな!?」 「ああ、言ったねえ……そう言えば。だがこの場にふたりの『立花君』がいるんだから、仕方ないと思わないかい」 「えっ……あぁ、まあ確かに…」 碧が丸め込まれてる……。 まあ、戸倉先輩相手じゃそうなるのは目に見えているけれど。 丸め込まれた本人はしきりに首を傾げているから、いまいち納得出来ていないんだろう。 「さて、僕らは何を買いに行こうか。碧君は食べたいものが沢山あるんだろう?僕はこういった場所には疎いから、君に着いて行くよ」 そう言われた碧の顔がパアッと明るく輝く。 碧、屋台で買い食いするの楽しみにしてたもんね。 「兄貴、りんご飴とクレープ忘れないでよ」 海、ひとにものを頼む時はきちんと目を見なさい。 「………りんご飴」 海にお説教していたら、朔太郎くんまでりんご飴に反応していた。 桜祭りで重森さんと食べてから、お気に入りになったらしい。 「あー、わかったから。ちゃんとお前らのも買ってくるから心配すんな。先輩、ほら行こうぜ」 碧は何だかんだお兄ちゃん気質だから、しっかりしているんだと思う。
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