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「ふうん……海君は甘いものが好きなんだ?そう言えばファミレスでも甘そうなもの食べていたね」
残った四人でなんとなく碧たちを見送っていたら、八木橋先輩が独り言のように呟いた。
「海、甘いもの大好きなんです。と言うより立花家が全員そうなんですけど」
海がいつまでも黙っているから、慌てて僕が答えてしまった。
八木橋先輩は気にした様子も無いけれど、やっぱり申し訳ない気分になってしまう。
当の本人はそっぽを向いてゲームを始めていて、何だか腹が立って海の頭に手を伸ばした。
「………あの、朔太郎くん」
「………触るの禁止」
伸ばした手は海の頭上で止まってしまった。
八木橋先輩と海に無言でジッと見られて、居た堪れない。
恥ずかしすぎるよ朔太郎くん…!
「あーーー……、はいはい。いちゃつくなら他でドーゾー。晴太、人形焼も買ってきてね」
「朔太郎、あまり晴太くんを困らせたらそのうち愛想を尽かされるよ」
ヒラヒラと手を振るふたりに促されて、朔太郎くんと屋台に歩き出した。
ダメージを負った僕が無言だったから、ふたりともずっと黙って歩いた。
彼はもともと自分から会話をするタイプではないから、特に気にはならなかったけれど。
屋台で海に頼まれた人形焼を買い、次は何にしようかと朔太郎くんを見上げる。
「………朔太郎くん…?」
彼はとても難しい顔をして遠くを見ていて、僕はその表情に不安になった。
なにか怒ってる……?
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