朔太郎くんの隣には

15/16
前へ
/432ページ
次へ
「僕は朔太郎くんが好きだよ。きっと、ずっと好きだ。例え朔太郎くんが、僕を好きじゃなくなっても」 そんな風に考えてしまうと、胸がチクチクと痛むけれど。 それでもきっと、僕は彼が好きだと半ば確信している。 「……俺の方が好きだ」 「ふふ、うん、ありがとう」 拗ねたように言い返す朔太郎くんに笑いかけると、腕を引かれてフワリと包み込まれる。 朔太郎くんの匂いがする。 幸せだ。 「晴太、大事にしたいからダメなことは言って。譲れないかもしれないし、納得しないかもしれないけど。……どんな気持ちでも、知りたい」 うん。 僕も同じだ。 朔太郎くんが何を考えているのか、想像だけでは不安になる。 それで合っているのかもわからない。 だから出来るなら言葉にして伝えたいと思う。 もしかしたら、これから言葉に出来ない気持ちになることもあるかもしれない。 だけど好きだという気持ちは伝えたい。 朔太郎くんが不安にならないように。 ふたりでずっといられるように。 「晴太が居なくなるかもって考えるだけで、頭が真っ白になった」 「うん。僕も朔太郎くんに置いて行かれて悲しかったよ?」 ごめんと呟く朔太郎くんにしがみ付く。 「もうしないって約束してくれるなら、許す」 本当はとっくに許しているけれど。
/432ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1593人が本棚に入れています
本棚に追加