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「連絡をくれるなんて思わなかった」
でかい胸が目の前で揺れている。
女が腕を上げて長い髪をまとめているから邪魔するものがない。垂れ下がる乳房がとても重そう。吸われすぎてなのか、生まれ持っての色素なのか、先端の色を見て興味を無くした。
「ねえ瑠珂。また誘ってくれる?」
背中を向けて横たわると、腕に柔らかいものが当たり、次いで重みが増した。
重い。乗るんじゃねえよ。
身体を何度も揺すられて、寝たフリすらできない。
「気が向いたらな」
「もう!」
女は俺から離れた。
「あたし瑠珂の彼女になりたい」
そしてふざけたことを言う。
「ねえ、瑠珂ってば」
シカトを決め込む俺を強引に仰向けにし、その上に女は馬乗りになった。
首から上は評判通り可愛い顔をしている。ピンクに色づいた頬を膨らませ、縁を強調させた大きな目で睨んでくる。
「瑠珂はあたしのことをどう思ってるの?」
なんとも思っちゃいない。同じ学校、同じ学年でそこそこ顔が可愛くて、そこそこスタイルがいい、欲情した男ならほっとかない女。
そして俺は、そこそこ顔が良くて、そこそこノリが良くて、女に対しては彼氏持ちだろうが亭主持ちだろうが関係なく食っちゃう節操のない男。恋人を作っても一か月と続かないって有名なはずなのに、何を言っているんだろう。
面倒くさい女は嫌いだ。でもこいつの顔と身体の相性は嫌いじゃない。これ以上煩わしいことを言わなければまた会ってやるよ。
右手を女の頬に添え、薄く笑いかけてやる。とたんに女の表情はパッと明るくなった。
「好きだよ。この顔も、身体も。試すような言葉で挑発しても俺を縛らないところなんか大好き」
勢いをつけて起き上がり女の額にキスをした。その顔には不満が露わになっていたが、もう何も言わなくなった。
女なんて単純だ。ちょっと優しくして、ちょっと甘い声で煽ててやって、誰にでも囁く「好き」の言葉一つで簡単に落ちる。
俺は取り繕うのが苦手で、思ったことしか口に出さないから言葉に嘘はない。
俺に興味を持つ女性達には分かってもらいたい。世の中にはいろんな「好き」があるということを。甘いデザートがたくさんあるように―――。
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