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それで気付いたんだ。
そうだよな。何を勘違いしていたんだろう。瑠珂が怒っていないはずがない……。
悩みは不安に変わり、ひどく落ち込んだ。
愛されている自覚があったら胸を張って堂々としていられるのに、愛されていないと分かった途端に自信を無くしてダメ人間に戻る。だから西尾に中途半端だと言われるんだ。自分から愛し、大事にする器量が無いくせに、愛されたいと駄々を捏ねている。俺には瑠珂に近付く資格なんてない。
細かい雨が絶え間なく落ちてくる空を見上げ、白い溜息を吐き出した。それでも瑠珂の一言一句や、笑顔が忘れられなくて、諦め悪く追い掛けてしまう。
下校時間が過ぎた学校は静まり返っていた。正門とは反対のバラ門の前にいるので、余計に人の気配を感じない。
今日は17日の木曜日だ。昨夜になっていきなり、瑠珂から予定変更のメールが届いた。
『明後日の約束、明日に変更してもいいか?』
俺が断るわけないじゃん。1日でも1時間でも早く瑠珂に会いたいと指折りに待っているのだから。
指定された時間の1時間前に着いて、2分おきに時計を確認している。冷たい雨が降っているのに馬鹿なことをしているなと、自分でも思う。でも、逸る気持ちを抑えられないからどうしようもない。
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