瑠珂と順平のその後①

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 瑠珂、なんで驚かないの? なんで抵抗しないの? 瑠珂が微動だにしないから、俺は今にも首筋に吸い付いてしまいそうだよ。 「順平」  名前を呼ばれて夢から覚めた。  まずい……。まずい、まずい、まずい。これは非常にマズイ! 「ご、ごめんっ!」  咄嗟に瑠珂の背中から飛び退いた。でも俺の両腕を瑠珂が掴んでいて思ったほど離れられない。  あれ? なんで、瑠珂が俺を掴んでるの?  腕の中で瑠珂がくるりと回り向かい合わせに立つ。腕は解放されたが、今度は瑠珂の真っ直ぐな目に捕らわれて動けなくなった。  瑠珂の右手が伸びてきて首の後ろを掴まれる。そのまま強く引き寄せられ、唇を奪われた。柔らかくて温かい舌に舐められ、驚いた拍子に侵入を許してしまう。 「ぅ…ン……」  口内で舌が激しく絡み合う。角度を変え、少し強引に吸い付かれ、艶かしく蹂躙される度に背中がビクン、ビクンと震えた。  これは瑠珂からのキスにカウントしてもいいんだよね? そんなことを考えると胸がいっぱいで、嬉しくて、自分の全てを瑠珂に委ねてしまいたくなる。身体の緊張が少しずつ抜けていく。  脇腹に添えられた瑠珂の左手に力が加わり、気付かないうちに身体を回転させられ、半歩後ろに下がった。すると膝裏に何かが当たってがくんと体勢が崩れる。  尻餅をついた先はソファの上だった。背凭れが右側にあり、横向きに腰を沈めている。  足の間に瑠珂の膝頭が入った。瑠珂は俺の肩を押してゆっくり覆い被さってくる。  あれれ? と思う間に俺は呆気無く押し倒され、角度と強度を変えて何度もキスをされた。それはもう、数え切れないほど……。
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