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ろくでなしの俺に優しくしてくれるのは女だけだと思っていた。
彼女たちは皆優しい。好かれたい、一番になりたいという一心で男をたてる。
集団で群れるのが嫌いだから、二人きりを求める女と付き合う方が楽だった。マンツーのやり取りでは普段は愛想がないと言われる俺も少しは饒舌になれた。
キャッチボールとか、サッカーとか。鬼ごっことか、隠れんぼとか。
子供が集団で行う遊びより、俺は先に男と女の遊びを覚えてしまった。
襖一枚を隔てた向こう側では、今夜も男と女が酒に酔いしれ戯れている。
男無しでは生きられない女が、年も考えず甘えた声を出す。女には夜の仕事で蓄積された衰えがあるというのに、何も持たない男には尽くす女が貴重であるのか、だらしなく鼻の下を伸ばしている。
醜いな―――。
男と女。マンツーの馴れ合い。欲望まみれの体温に触れたとき、俺は酷い嫌悪を覚える。
俺は女とセックスばっかりしていた。彼女らが、その行為が、好きでもないのに。
女と遊ぶのに特別な理由なんてなかった。俺にはそのポジションしかなかったから、その位置で、そのやり方で、誰かと一緒にいたかったんだと思う。
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