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『高幡順平』を嫌いな動機なんてなかった。皮肉な話、奴をはじめて見た瞬間から嫌いだった。
声を聞き、笑い声を聞き、ふざけた態度やウケ狙いのバカ騒ぎを見るたびにイライラした。
食わず嫌いと同じか。食べたことがない、味を知らない、先入観だけで嫌いだと決めつける。まともに話したをしたことがない、性格なんて知らない、だけどハッキリ嫌いだと言えた。たいした理由がなくても嫌いな人間は世の中にごまんといる。
だから当然『高幡順平』の取り巻きも嫌いだったし、『高幡順平』と親しくする女子も嫌いだった。
学校にはあまり行かず、女と遊んでばかりの俺は当然『友達』と呼べる存在がない。
縛られない関係を強要していたせいか、因縁つけられて狙われていることを教えてくれる優しい女もいなかった。
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