3人が本棚に入れています
本棚に追加
黒板の前に立ち、学級委員長は思い出を語った。本当に最高の3年1組でしたと。
これで挨拶が終わったと思いきや「最後に皆に言いたいことがあります」と続けた。
「なんだよ委員長」
彼女は涙を拭うと、可愛らしい微笑みを消した。
「今日でやっと嫌な思い出を忘れられるって思っていませんか?
ううん、既に隅っこの野口さんの席を見ても、今日も花が生けられているなってぐらいの感覚かもしれません。
皆はいいですね。だって、見えていないんだもん。私は彼女が自殺した日からずっと、血みどろの顔とギョロギョロ動く瞳に怯えていました。
今日も野口さんは皆のことを許さないって呟いています。ほら、聞こえませんか?」
委員長は血の気の引いた顔で野口さんの席を指差すと、気を失ってその場に倒れた。数名が慌てて彼女に駆け寄る。
それから皆、恐る恐る振り返り野口さんの席を見つめた――。
最初のコメントを投稿しよう!