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薄暗い部屋の中で二人で裸で向き合った。
「うん。綺麗だ・・」
私は恥ずかしくて顔を上げられない。
勿論、慶吾の裸も見られなかった。
「なあ・・
あの時あんな嘘を言ってなかったら、君はとっくに僕のものだったんだな」
そう言って私を抱きしめた。
「慶吾」
一瞬慶吾がこのまま遠くへ行ってしまうような気がして彼を抱きしめた。
「あっ、
やっと僕を受け入れた?」
「え?」
「今まで僕の為すがままで、君から僕に何かしたのこれが初めてだろ」
彼の言葉に顔が赤くなる。
「ごめん、風邪をひくね、
シャワーしておいで」
そう言ってバスタオルを渡してくれた。
「バスルームに使ってないのが有るから使うといい」
私が振り向くと慶吾はもうベットに戻っていた。
シャワーを浴びて鏡を見る。
自分の顔が違う女のように見える。
ホテルに供え付けられたシャンプーで髪を洗う。
使っていないバスタオルを慶吾の為に残してさっきのバスタオルで身体と髪を拭いた。
ドライヤーで髪を乾かして服を着る。
慶吾の傍に寄ると彼は眠っていた。
不思議な気がする。
男が好きだと言う慶吾の言葉に無理やり押し込めた彼への思い。
強く押し込められた分、その重石が外れ弾けて膨らむ。
彼が愛しくて堪らない。
ベットに横になって彼の背中に身体を寄せた。
寝ていると思った慶吾が私に向き直る。
腕枕をするように私を抱いた。
「服、着たの?帰るつもり?」
目を閉じたままそう聞く。
「居て欲しい?」
少し甘えるように聞いてみる。
「ん、居て欲しい」
そう言うと私の返事は聞かずにまた眠りについた。
彼の腕の中は気持ちがいい。
触れないように指で彼の顔をなぞる。
(こんなに睫毛が長かったのね)
私が知ってるのは15歳の慶吾。
他の男子よりは大人びて見えたけれど、まだ少年の彼だった。
今ここに居るのは大人になった、私の知らない時間を過した慶吾。
しかも私の初めてを簡単に奪った男。
思わず彼に口付ける。
眠ってる筈の慶吾が目を開けた。
「ごめんなさい・・起した・・」
私の言葉が終る前に起き上がる。
私をベットに押し付けるように、長く激しく口づける。
「もう一度、する?」
「ばかね、
無理に決まってるでしょ」
私は顔を真っ赤にして慶吾から目を逸らせた。
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