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「えっ?
ん~ん、変ったと言えばそうかな?
でもそんな理由じゃなくて、
日本に帰ろうと思ったら一番に君の事を思い出したんだ、だから」
「ウソっ、うれしい。
じゃ、会っちゃおうかな?」
「ははは、うん。
会っちゃいなよ、僕と・・
何処にする?」
「明日・・か。
良かったら迎えにいこうか?空港に」
「本当?来てくれるの?」
「いいわよ、嬉しい?」
「ああ、
荷物が山ほど有るんだ」
「え~っ、
私を荷物持ちにする気?」
「あははは、
そんな気はないよ。
本当に君と話してると幸せな気分になるよ」
彼はまだ笑っている。
「メルアド、二年前と同じ?
いっしょなら到着時間を入れるけど」
「うん、同じ・・って、そう言えばこの番号誰に聞いたの?」
「君」
「私?」
「うん、
二年前の年賀状に書いてあった。
電話してね~って。
アドレスも一緒に」
年賀状は毎年のように送った。
勿論、日本の彼の実家宛てに・・
彼は中学を卒業する前にアメリカに留学して行った。
その後もドイツ、フランス、イタリアと言った具合に留学先が変り、年賀状を送ろうにも今何処の国に居るのかさえ判らない。
仕方なく私の実家から歩いて2分の彼の実家に送っていたのだ。
「二年前って・・
じゃ、何で今まで電話くれなかったの?」
「だって先週だもん、僕がこれ見たのは・・
ああ、だからかな?
君に会いたくなったの」
彼を初めて見たのは中学の入学式の日だった。
体育館の入り口にクラス分けの為に貼られた大きな紙の前で、彼は長い間一人で立っていた。
寝坊した母をおいて一人で先に来た私はその張り紙の前で自分が入るクラスを探す。
一クラス35人位の時代だ、
クラスも6組まであった。
クラス名簿の中の自分の名前を中々探せない。
「君、名前は?」
急に声を掛けられ彼を見た。
「松岡奈々美」
「マツオカ・・ナナミ・・あった!3組だよ。
僕と同じ」
女のように綺麗な顔をしていた。
「ありがとう・・
だけどクラスが分ってるのにどうして中に入らなの?」
そう聞いた私に彼は平然と言う。
「僕?
いいんだ僕は帰るから」
「帰るって・・入学式は?」
「そんなもの出ないよ」
「どうして?」
私は驚いて彼を見た。
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