四葉のクローバー

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昼を少し過ぎた頃ジョンウの声で眼が覚めた。 「どうしたの? ニューヨークは?」 「今から空港へ行くよ。 おいで」 ベットの上に座り優子を抱きしめた。 「僕が帰って来る前に君が死なないように少しだけど時間を作った。 ごめん。 また一人にする」 そう言うとポケットからリボンが飾られた小さなケースを取り出した。 「プレゼント。 急いで作らせたから気に入るかは分からないけれど」 開けて見ると四葉のクローバーを象ったエメラルドのペンダントが入っていた。 「綺麗、これクローバー?」 「無くなって寂しがっていたから。 これなら刈られたりしない。 見たい時に何時でも見られるだろう」 そう言って優子の胸に着けてくれた。 「良く似合うよ。 帰って来たら二人だけで旅行に行こう。 仕事は休みにするよ」 そう言って優子の顔を覗いた。 「ありがとう。 でも、プレゼントなんて要らない」 優子はジョンウにギュっと抱きついた。 「分かってる。 僕が欲しいんだろう?」 ジョンウは腕の時計をチラっと見るとベットから離れて部屋の鍵を掛けた。 「三十分だけ君に僕をあげる」 そう言って笑った。 廊下で待っていたテスクが、鍵の掛けられた音で腕の時計を見た。 「はあまいったな。 仕方ない、一便予約を遅らせるか」 携帯を握ると笑いながら車に戻って行った。                 完
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