四葉のクローバー

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韓国へ帰るとまた彼の忙しい日々が続いた。 病院へ行く用も無くなり一日じゅう何もする事が無い。 反対に彼がいる時は何一つ自由になる時間が無かった。 今も会社に行ったきり電話一つ無い。 庭に出てすっかり秋色に変った木々を眺めた。 ふと四葉のクローバーを思い出した。 (そうだ、見に行こう) そう思ってミナに聞いた。 「ミナさん、私が初めて来た日に庭を案内してくれた事があったでしょう?     あの庭に行きたいんだけれど、行き方を教えて貰えないかしら」 ミナは案内しますと言って優子を連れて来てくれた。 季節が変り咲いている花が変っていた。 庭の中を探したがクローバーの群生が無い。 ジョンウが(他の芝生と一緒に刈られる事もある)と言っていた事を想い出した。 がっかりしながら部屋に戻るとジョンウから電話が入った。 「どうしたの? 元気が無いね。 僕がいないからか?」 「うん。 それと、庭のクローバーを見に行ったら無かったの」 「無くなってたのか?」 「うん。 急に思い出してミナさんに連れて行って貰ったんだけど」 「大丈夫?」 「うん。 仕方ないわ、一生懸命思い出す事にするわ」 「そうか。 後二日は帰れそうも無いけど出来るだけ早く帰るよ。 今の声だと僕の方が心配でたまらない」
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