95人が本棚に入れています
本棚に追加
成田を出発してインチョンに着いたのは午後だった。
病院の面会時間ぎりぎりに病室へ入ると、ユニは一目で優子と呼んだ。
小学校に入ったばかりの時に別れたきりだ。
もう二十年以上会ってはいなかった。
ユニは思ったよりは元気そうだったが、何本もの点滴とモニターに繋がれていた。
「ユウコ来てくれたの」
そう言うと強く優子を抱きしめてくれた。
「オンマ。
来ない訳ないじゃない。
私が来たから直ぐに良くなるわ」
優子もユニを抱きしめた。
看護詰め所に寄って今夜は付き添いたいと申しでて病室へ戻る途中、(優子に決まった)とボウムからメールが入った。
急いで電話を入れる。
「明日迎えに行くよ。
病院でいい?」
明るい声が懐かしい。
「ありがとうボウム。
お昼過ぎでもいい?」
そう聞く。
「分った。
相手にそう伝える。
ああ、出来るだけ清楚な服装で」
「清楚?なぜ?」
「それは会ってから話すよ。
長くなりそうだし。
もう少し相手の情報を集めるから」
そう言って電話が切れた。
なんだか面倒な相手のようだ。
(やっぱり。
条件が良すぎると思ったのよ)
そう思ったが今更如何する事もできない。
とにかく今夜はユニの傍にいる事だけ考えようと思った。
その夜は子供の頃の話や、3年前に韓国で女優をしていた話をした。
最初のコメントを投稿しよう!