第1章

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俺の名前は如月 瑞季(きさらぎ みずき)。ごく普通の高校1年生だった。学校の帰り道に道路に飛び出した猫を助けてトラックにはねられて死んでしまった。 でもその猫は神様が現世に使いに出した天使だったみたいで、それを助けた俺はお礼とお詫びに転生させてもらえることになった。 そして今、俺は絶賛落下中である。でも不思議と恐怖はない。まるで身体が「自分は飛べる」と知っているかのようだ。めちゃくちゃすごいスピードで落っこちてるのに。 「やってみようか。」 そこで俺は、身体が知っている飛行方法をやってみることにした。空中でうまく身体をコントロールし、飛行体勢に入る。 キィィィィィンッ! 速度はさらに上がる。音を置き去りにし、地面がどんどん近づいてくる。 ドゴォォォォォンッ! 俺は地面に勢いよく激突し、大穴を開けた。穴の中で俺は転生したばかりの自分が一糸纏わぬ姿なことに気づいた。そこで俺はその辺の植物を使って服を作ることにした。神様転生のオマケなのかそんな知識は持っていた。男物のブレザーを着た俺は穴からゆっくりと立ち上がった。 そこは森だった。現代日本ではまずお目にかかることが難しいだろう深い深い森である。なぜかうなじ辺りに違和感を感じるがまあ良しとしよう。 少し歩くと透き通った湖が見えてきた。ちょうど自分の姿を確認したかったので湖を覗いてみた。そこにいたのは赤い髪の鋭い目付きの少年だった。 「赤羽 業じゃん。」 そう。湖に映ったのは暗殺教室の赤羽 業その人だった。そして何より気になるのはうなじから生えた2本の黒い触手だった。力を入れてみると触手はビュンビュンと思い通りに動く。 「まさか・・・」 俺はある仮説が浮かび、空に向かって飛び立ってみた。 ボンッ! すると俺の身体はものすごい速度まで加速し、たちまち音を置き去りにする。そして高度1万メートル辺りの空中で俺は静止してみる。 「やっぱりな。」 どうやら俺の仮説は当たっているらしい。赤羽 業の姿のまま、マッハ20の怪物教師の能力を身につけたようだった。 「ま、いっか。あって困るようなものでもなし。それに超音速巡航とか面白そうだし。」 これが俺の異世界転生の第一歩だった。
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