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(高志さん……! 早く……怖い怖い怖い……)
ガタッ! と突然リビングの壁が戦慄いた。
「……っ!!」
目を見開き、部屋の空間を凝視した瞬間、今度は天井がミシミシと軋む。
「ひっ……!」
続いてドタドタと天井裏で何かが走り回るような音。
ネズミどころではないその大きな振動に、部屋の天井から埃が落ちてくる。
いや、埃どころではない。照明器具まで落ちてきそうなほどドスドスガタガタと震える天井。
「なにっ……? なんなのこれ、一体……! きゃあああ!」
その時、天井裏から聞き覚えのある怒声が降ってきた。
『こいつ、暴れんじゃねえ! おとなしくしろ!』
(えっ……?)
依子は天井を食い入るように見つめ、その奥の喧騒に耳を澄ませる。
『待機しててもらった警察がすぐ来てくれるそうです!』
『よし、足を押さえてくれ! 下に引きずり下ろすぞ!』
(高志……さん?)
何が何だかわからない。
天井裏から聞こえてくるのは紛れもなく高志と、そして知らない男の声。
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