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「そうよ、これ! 高志さんも見つけたの? これプリントアウトしたやつ?」
目を丸くして、依子は紙面と高志を見比べる。
「ああ。実はやっぱり気になって、俺も色々調べていたんだ。そうしたら数日前にこれを見つけて……最後の方を読んでみな」
促されてもう一度紙面に目を落とすと、さっきは電源が落ちてしまって読めなかった事件記事が最後まで記載されている。
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…………同アパートで見かける順子さんに鈴木が一方的に好意を持っていたものと推測される。
尚、鈴木の自宅を捜査したところ、鈴木のアパートは二階天井裏が繋がっており、鈴木は押入れの天井から屋根裏に侵入し、順子さんの部屋の天井裏に穴を開けてそこから下を覗いていた形跡が見つかった。
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「…………っ!!」
依子の顔から血の気が引いた。
「俺もまさかとは思ったよ。もう二十年も昔の事件だし、当然そんなの改装した時に直されてるだろうって。でもさりげなくこの部屋の天井を見たら……」
高志が苦々しく部屋の天井を仰ぐ。
その視線を追って依子がそろそろと上を見ると……、木目調の壁紙、木の洞を模した模様の黒い部分。
そこに目を凝らさなければわからないほどの小さな穴が開いていた。
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