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「ヒッ!」
「わかるか……? あの穴にスコープタイプの小型カメラを通し、パソコンに画像出力して……依子を見ていたんだよ」
叫び出しそうになる口元を依子は自分の両手で覆う。
「い……いったい誰が、そんな……」
「屋根裏が繋がってる事を知ってて、いつでも自由にそこに行けるとしたら、ここに住んでる奴。ここの二階に住んでるのは依子と……大家だけだろ」
グラリと依子の足元が揺れ、傾いた身体を高志が支えた。
「なんとか覗いてる所を現行犯で押さえたかったんだ。それで、まずは不動産屋に協力を頼んだ。昔の事件の事を告知してなかった落ち度を指摘したら、快く承諾してくれたよ」
高志の言葉を空で聞きながら、依子はもう一度天井の穴を凝視する。
「依子を部屋に居させて、警察には事情だけ話して待機しててもらった。その後、不動産屋に隣の空き部屋の鍵を開けさせて、そいつと一緒に押入れの天井から屋根裏に入った。押入れの天井が持ち上げればすぐに外れるのは確認済みだった」
「……私、あそこからずっと見られてたの? 着替えの時も、寝てる時も、……まさか高志さんが来ている時も……?」
小さくうなずいた高志が、おもむろに依子を頭ごと掻き抱く。
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