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「……でももう終わったんだ。気にするなって言っても無理だろうけど……俺がついてる」
「高志さん……」
ずっと感じていた視線は気のせいではなかった。
カメラも設置するのではなく、その都度持ち帰っていたから隠しカメラとして発見できなかったのだろう。
「俺はこれから警察に行って事情を話してこなきゃならない。もう心配ないからゆっくり休んでろよ。すぐ戻る」
「はい……。でも私、やっぱりココは引っ越したい。昔、酷い事件があったのは本当だし、こんな事まであって……怖いし落ち着かないわ」
依子は何げなくパソコン横の文房具ケースから出ているカッターナイフに視線を流す。
「ああ、そう言えば凶器はカッターだっけ。そりゃあ怖いよな……」
すると高志は手を伸ばし、ひょいとカッターナイフを取り上げた。
「依子が怖がるモノは俺が全部処分する。コレも、パソコンに残ってるデータも、全部だ。警察から戻ったら、すぐにでも入居できる二人の家を探そう」
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