男なら背中で泣きやがれ

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未だに実感が湧いていない…自分が空に浮いてる街に立っているなんて… でも、端から下を見ると脚がすくむということは紛れもなく空に浮いているのだろう。 エアバイクで下を見た時と同じ感覚だから… そうやってしゃがんで下を見ていると遠くから声が聞こえてきた。 「おーい!ウルフ!早くこーい!」 声のする方向を見るとアニキがこっちを向いて大きく手招きしている。 アニキの後には、エリスさんやカイトさん。ハロルドさんも待っている。 「うん!今行くよ!」 しゃがんだ体勢から立ち上がると、そう離れていないアニキの元へと急いだ。 「離れんなよ。」 自然と出したアニキの右手を僕はぎゅっと握って前を歩くカイトさんについていく。 「ウルフはほんとにクロウの事信頼してるのね?」 僕の右斜め前を歩くエリスさんがこっちを向いてにこにことしている。 「当たり前だろ!俺とウルフは本当の兄弟よりも堅い絆で結ばれてんだよ!な!ウルフ!」 「うん!だって僕達は!」 「『紅蓮の尻尾』(クリムゾンテイルズ)だからな(ね)!」 僕とアニキは声を合わせてそう言った後、顔を見合わせてニッと笑った。 「紅蓮の尻尾?」 「おうよ!今は俺とウルフの2人だけだが、いつかこのアルヴァンテリオ1のでっけぇギルドにしてやるんだよ!」 夕陽もすっかり落ちて僕達を上から見守っているお月様を指さしてアニキは高らかにそう言った。 「それがアンタの夢なの?」 「おうよ!それが俺の夢だ!ウルフにだって、立派な夢があるんだぞ?」 アニキの話を不思議そうに聞いていたエリスさんは僕を見下ろして 「そうなの?」 と首をかしげた。 「さあ、言ってやれウルフ!」 「い、いいよぉ、僕は…」 恥ずかしいし…無理だって笑われる… 「ウルフ。お前の夢は立派なもんだ。その立派な夢を笑う奴がいたら俺がそんなやつぶん殴ってやる!」 「アニキ…」 「人の夢を笑うやつに、夢を語る資格なんざねぇ!」 そう堂々と言い放つアニキはいつもにまして格好よかった。 「僕の夢は…『世界地図を書く事』だよ。」
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