男なら背中で泣きやがれ

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カイトさんが今度はこの場所について教えてくれるということで僕達は黙って聞くことにした。 「ハロルド。地図を。」 ハロルドさんが近くのバケツに刺さっていた地図を引き抜きカイトさんに渡す。 「まずココを見ろ。」 その地図は4国の地図だった。母さんが持っていて、僕が最近まで擦り切れるほど模写をしたものと同じものだった。 カイトさんが指さしているのは魔導国と機動国の真ん中だった。 「真ん中?海じゃねえかよ?」 アニキが不審な顔をして首をかしげている。 たしかにカイトさんが指しているのは海だった。 「馬鹿野郎。ココは宙に浮いてるんだ。だからここにあってもおかしくはないだろう。」 そういえばそうだ。たしかに僕もアニキもエアバイクに乗って空に飛んで来たんだった。 「それで、この位置にこの島が浮いているっていうことはどういう事だと思う?」 「はい!」 僕が勢いよく手を上げると 「はい!ウルフ。」 「魔導国と機動国の真ん中?」 「正解だ。流石、世界地図を書く男だ。」 正解した僕の頭をカイトさんがわしゃわしゃと撫でてくれる。 なんだか昔の父さんを思い出して気持ちよくて目をつぶる。 「…!くっ…」 目を開けて前を見るとハロルドさんが怒ったような感じで僕をじーっと見つめてくる。 「まぁ、食文化は俺が生まれたジパングのものだけどな。」 そう言って地図を丸めて後ろのバケツに投げ入れる。 「カイトさんジパング出身なんだ?」 「あぁ。いいところだぞ?」 そうなんだぁ!どんなところだろう気になる…! 「ところで、このカタナの事なんだけど…」 アニキはテーブルに置いていたカタナを手に持った。
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