男なら背中で泣きやがれ

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アニキが切り出したのは僕達が持っているこのカタナのことだった。 「ここによ。なんか文字が彫られてるんだが、何なんだこれは?」 アニキがカタナを引き抜くと刃の所には何かを掘られていた。 「これは…刀の名前…『影狼』?」 「カゲロウ?」 アニキがその名前を呼んだ瞬間だった。 「いーーーやっほーーい!」 なんだか黒くて早いものが僕の前を飛び、アニキの頭の上をくるくる飛んでいる。 「なな、何!?これ何!?」 飛んでいるそれは…カラスそのものだった。 「鴉…だな。」 カイトさんは冷静にそれを見て状況を飲み込んだようだった。 「おそらくこりゃ、ウルフの母さんの仕業だな。アイシャ様はお前らがこの刀をかっぱらうのまで予想してたようだな、」 つくづくわからなくなる。母さんはただの行商人だったとしか聞いてないから話についていけない。 「もしかしたら、ウルフのそのカタナも名前が彫られてるんじゃねえか?」 アニキが袋をとっぱらい僕のカタナを抜く。 「これはなんて書いてあるの?」 予想通り、僕のカタナにも彫られていた。 「こっちは、『白狼』だな。」 「ハクロウか!」 今度は元気よくアニキが名前を呼んでも反応しない…?なんでだろう。 「あれ?出てこねぇぞ。」 「だね。」 アニキも不審がって首をかしげている。 「これはジパンドでは意味はあるの?」 「あぁ、白い狼って意味だな。」 「狼か!僕と一緒だね!『ハクロウ』!」
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