男なら背中で泣きやがれ

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僕がカタナの名前を呼んだ時だった。 アオオオオオオオオオオオオオオオン! 周りが光に包まれながら狼の遠吠えが部屋中に響き渡る。 「!?」 思わず僕もみんなも耳を塞いだ。いきなり過ぎてびっくりしたけど… 「私の名前を呼びましたか?主よ。」 僕の前に大きくて、白くてとても綺麗な毛並みの狼が現れた。 「え、え?」 「混乱しないで?ね?」 優しい女の人の声で語りかけて僕の顔をペロペロと舐める。 「君がハクロウ?」 「ええ。私が白狼です。」 「それで、俺が鴉の影狼。」 横からアニキの方に乗っているカラスが口を挟んできた。 「お前カラスなのに、ロウなのな。」 「知らんよ。俺がつけたんじゃないんだからよ!」 なんだかんだアニキとカゲロウも仲がいいみたいだ。 「これは、おそらく、アイシャ様がこのカタナに込めた魔瞳生命体だろう。アイシャ様が居なくなってもなお、お前らを守るためにこの刀に込めたってのが妥当だな。」 話していることは全部理解出来ないけど、母さんが僕とアニキに遺した二つ目の遺品って事になるわけか… 「とりあえず。今日はもう遅い。寝るとしよう。」 カイトさんはそう言うとソファから立ち上がり、着物の上に上着をはおる。 「お前らはこのエレベーターの上の階の客室を使え。俺達は下を使う。おやすみ。」 そう言うとカイトさんは自動で下に降りる機械に乗る。 「おやすみ。クロウさん。ウルフくん。」 「じゃね!」 ハロルドさんもエリスさんも一緒に乗り消えていった。 「それじゃ、いろいろ聞かせてね。ハクロウ。」 「えぇ。私たちは依代としてそのペンダントに入るとするわ。」 そう言って、カゲロウもハクロウもアニキと僕のペンダントに消えていった
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