男なら背中で泣きやがれ

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ーーーーカイトの寝室ーーーー 「うぁぁぁあっ…」 思わずあくびが出た。久しぶりの来客だからコックロイドも張り切ってたな…明日メンテナンスが必要かも知れねぇな。 「まさか、アイシャ様の息子とはな…驚いたもんだ。」 アイシャ様は俺の育ての親代わりでみたいな人だった。 ジパングで捨て子だった俺をキャラバン巡業の途中だった『四国の系譜』の当時ギルドマスターだったアイシャ様が俺を拾って育ててくれた。 そんな過去がある。 「えらい懐かしいこと思い出したな…」 そういえばどことなくウルフはどことなく似ている感じがするな… コンコンコン…と部屋のドアをノックする音が聞こえる。 「入ってよし。」 がちゃりと音を立ててドアを開くとそこには寝間着姿のハロルドが立っていた。 「お父さん…。一緒に寝てもいい?」 「そりゃ、構わないけどよ…どうした?急に。」 そう答えるとハロルドはベッドに上がり布団の中に入ってきた。 「お父さんと一緒に寝たいだけ…だめ?」 ハロルドはギューッと抱きついて俺の胸板に顔を埋める。こうやって俺に甘える時は悲しいことがあったか、悩みがある時だ。 「ウルフとクロウのことか?」 「うん。ウルフの頭撫でてるの羨ましかった。」 なんだ、ヤキモチか…。我ながら親ばかだと思うが、とってもカワイイ娘だと思う。 仕方ない。 ギューッと抱きしめてやった。 「んむぅ…お休み。お父さん。」 「あぁ。お休み。ハロルド。」 このまま眠ると昔の夢でも見るのかな… そんなことを考えながら俺は意識を手放した。
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